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【今米国へ商品販売のチャンス】米国EC市場 賃金高/ドル高で拡大。

Updated: Jul 20, 2024


1.ドル高で魅力が増すアメリカマーケット

 円安ドル高が進んでいますが、アメリカでECビジネスを展開するに当たってどのような影響があるでしょうか。結論としては、ドル高は、米国でのビジネスに非常に有利に働くと言えます。

 最近のドル高の影響もあり、アメリカ人の平均給与は、779万円*1 (日本人約433万円*2)と日本の1.8倍になりました。アメリカ人にとって日本の商品は割安に感じるため、購入のハードルが下がったり、日本より高い値段設定でも購入してもらえる状況にあります。つまり、より大きな売上が期待でき、まさにアメリカマーケットの魅力が高まっていると言えます。 

 それでは、今後のアメリカマーケットの魅力を左右するドル円相場は、どのように推移するでしょうか。1)これまで円安が進んだ要因、2)今後ドル円相場がどのような展開となるのか、日米の金融政策に着目しながらみていきましょう。


図表1:アメリカと日本の平均年収


アメリカ人と日本人の平均年収
アメリカ人の平均年収は779万円に対し、日本人は433万円

           出典:the U.S. Bureau of Labor Statistics(*1) / 国税庁(*2)

 


2.これまで円安が進んだ要因:アメリカの利上げがドル高・円安を主導


ドル円相場は2021年まで100~120円を中心としたレンジで安定して推移していました。しかし、2022年に入ると状況は一変。同年10月21日には151円95銭まで急激にドル高・円安が進みました。この急激な為替変動の原動力となった最も大きな要因が、アメリカの金融政策です。

 2022年、各国が新型コロナウイルスによる行動制限から解放され、経済活動を再開すると、「モノ不足」が目立つようになります。加えて、ロシアによるウクライナに侵攻で資源価格も大きく上昇。世界的にインフレが深刻化しました。

 物価の加熱を抑えるため、各国の中央銀行は利上げを開始します。利上げを行うことで経済活動のペースを減速させ、インフレを抑え込もうとしたのです。日本でもインフレが進んでいますが(日本は4%程度)、アメリカのインフレは日本の比ではありません。一時は前年比9%を超える水準で、物価が上昇したのです。このため、アメリカの中央銀行にあたる連邦準備理事会(FRB)は、これまでにない急激なペースで利上げを行ってきました。

 図表2は、アメリカの政策金利を示したものです。2022年にFRBは約1年間で5%もの利上げを行っいました。今回の利上げがいかにハイペースだったかが見て取れます。


図表2:アメリカの政策金利


為替相場と政策金利の推移
2000年から2023年までの為替相場と政策金利の推移を推移

                            出典:Macrotrends (*3)


 金利が上がれば、世界の投資家はどう行動するでしょうか?投資家は、自国の銀行から預金を引き出し、利息の高いアメリカの銀行に預け替えることになります。特に、その間、日本の金利は極めて低水準で推移したので、資金の多くがアメリカに流れていくことになりました。

 つまり円の需要は減少し、ドルの需要は増加しました。これが、2022年の急激なドル高・円安の要因でした。



3.今後のドル円相場の見通し 

ポイント1.アメリカが利下げに転じてもドル安は一時的か


 では、今後ドル円相場はどうなるでしょうか。アメリカの景気後退を受け、利下げに転換する見方が強まっていますが、急激なドル安・円高が進むのでしょうか。色々な予想がありますが、ここではドル安・円高は一時的なものにとどまる可能性が高いという考えをご紹介します。

 FRBが利下げを開始すれば、上述とは逆のことが起きます。つまり、ドルの需要は減り、円の需要が高まるので、円高ドル安になります。2023年の年末にかけては、インフレ沈静化と共にアメリカの利下げへの期待が高まりますので、その際には現在の水準よりもドル安・円高方向に進みやすいでしょう。

 それなのになぜ、ドル安・円高は一時的にとどまると考えられるのでしょうか。理由は、「市場は期待で動くため」です。皆さんは、「Buy the rumor, sell the fact (噂で買って事実で売れ)」という相場格言をご存知でしょうか。投資家はある出来事が実現していなくても「期待」で先に動くため、その出来事が実際に起きると、今度は逆の方向に動くということです。利下げについても同じことが言えます。人々が「利下げを行うのではないか」と期待している時は、実際に利下げが行われていなくても、先行してドルは売られ、逆に実際に利下げが始まれば、ドル売りの圧力は弱まっていくのです。

 図表3は、2024年6月時点の政策金利がどの程度の水準にあるのか、投資家が予想したものです。これを見ると、99%の投資家が2024年6月までに利下げが行われることを予想しており、そのうち半分以上の投資家が3~4回の利下げを予想していることがわかります。つまり、来年以降に利下げが開始されたとしても、その利下げは既に「予想済み」のことであり、利下げしたという事実でドルが大きく売られる可能性は低いということになります。むしろドルが売られやすいのは、利下げへの「期待」が高まりやすい2023年内ではないでしょうか。


図表3:2024年6月の政策金利予想


2024年6月までのアメリカ政策金利予想
2024年6月までの間にアメリカ中央銀行が政策金利を上げるか下げるかの予測

                              出典:CME (*4)


ポイント2.日銀の金融政策が円売りの安心感に


 ドル円相場を予想する上でもう1つ忘れてはならないのは、日本の金融政策です。日本の金融政策が引き続き利上げができない局面であることも、円売りの材料に繋がっているといえるでしょう。日本ではアベノミクス以降、「量的・質的金融緩和」として世界でも類を見ない異次元の規模の金融緩和が行われています。リーマンショック以降、ドル円相場は1ドル=100円を割り込みました。しかし、アベノミクスの「第一の矢=大胆な金融政策」として、この異次元緩和が行われたことで、ドル円相場は円安方向に動き始めました。

 この異次元緩和の立役者となったのが、黒田日銀前総裁でした。黒田前総裁は10年間の任期中、金融緩和を粘り強く続けてきました。2022年は各国中銀が利上げを行う中で、日銀だけが金融緩和を続けたことが、円安に繋がったのです。

 2023年4月に黒田前総裁の後任として植田総裁が就任しました。植田新総裁が、それまでの金融緩和を修正するのではないかという期待が一時高まったこともありました。しかし、植田新総裁は緩和自体は粘り強く続ける方針を示しています。日本では、ようやくデフレから脱却し、賃上げの萌芽が見られ始めたところです。そんな中で金融緩和を急に修正してしまえば、日本はあっという間に景気が冷え込み、賃金上昇の流れが中小企業に波及する前に、その芽も摘み取られてしまう事になりかねません。このため、日銀は軽々に金融政策を修正できないのです。つまり、日銀は利上げは当面しない可能性が高く、円売りに安心感をもたらしています。



4.まとめ

以上のように、円安ドル高によってアメリカ人の購買力はより一層高まっており、アメリカでECビジネスを行う魅力が高まっています。これまではアメリカの利上げが円高を主導してきましたが、今後どのようになるかを予測することも、アメリカでECビジネスを実施するにあたって重要な要素です。今回は、しばらくは円安、ドル高が続くのではないかという見方を紹介しました。ぜひ参考にしてみてください。


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*1 アメリカ人平均給与:USUAL WEEKLY EARNINGS OF WAGE AND SALARY WORKERS

FIRST QUARTER 2023  (the U.S. Bureau of Labor Statistics) https://www.bls.gov/news.release/pdf/wkyeng.pdf

$1,070/週(米国人平均収入(政府統計*1) x52週x140円/ドル で算出


*2 日本人平均給与: 令和2年分 民間給与実態統計調査 令和2年分 民間給与実態統計調査|国税庁 (nta.go.jp)


*3「Federal Funds Rate - 62 Year Historical Chart」


*4 「CME Fed Watchツール」

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