アメリカでECを始めるには、まず商品を日本他の国からアメリカに輸出しなければなりません。その際に行わなければならない事、気を付けなければならない事をまとめました。
アメリカへの輸出法規制、アメリカ国内での販売規制
グローバル経済に移行しつつある現在でも、国家間の手続きや特定の製品に対する規制、貿易協定に関連する関税などには大きな違いがあります。輸出する製品は、規制の対象の製品ではないか、許可の必要な製品ではないか、必要な包装、ラベル表示、関税、FDA認証(以下で説明)について特に調べる必要があります。以下はアメリカの輸入規制品の一部です。
食品(乳製品、食肉など)
アルコール飲料
タバコ製品
銃器
放射性物質
生物学的薬剤
野生動物
自動車:安全基準、排ガス規制をクリアしているか。
ボート:安全基準を満たしているか。
また、輸出する製品が食料・飲料・化粧品・医薬品・医療機器である場合は、FDA(Food and Drug Administration」の略称で「アメリカ食品医薬品局」の認証を受ける必要があります。
子供用玩具等も安全性等に細かい規制があるので注意が必要です。
製品の確認、輸出用梱包
出荷前にすべての製品がお客様の仕様通りに作られていることを確認することが重要です。写真を入手したり、サンプル品を発送したりすることもできます。また、商品の安全性や米国で販売するにあたり必要な適切な表示がされているかも確認しなくてはいけません。
さらに、在庫の梱包についても確認することが重要です。輸送中は大きな揺れや衝撃がある事も考慮に入れる必要があり、それに耐えられるような梱包をする必要があります。メーカー、もしくは物流業者に対し、十分な梱包がなされているかアドバイスをもらい検討してみましょう。多少費用がかかるとしても、負担する価値のある出費となるでしょう。
HTSコード
まずは、製品の関税分類番号またはHTSコード(Harmonized Tariff Schedule) )です。HTSコードは、米国国際貿易委員会のウェブサイト(International Trade Commission のHP https://hts.usitc.gov/Harmonized System Code)で調べる事ができます。ここに輸出する製品を入力すると関税率を調べる事ができます。
インコタームズと貨物の準備
インコタームズ」とは国際商取引条件のことで、基本的には貨物輸送に関する用語です。インコタームズは、売り手と買い手がそれぞれどこまで輸送を手配するか、保険を手配するかの貨物の責任を規定します。
インコタームズ買い手と売り手の間の合意で決まります。つまり、どの時点で貨物が買い手の責任になるのか、それとも売り手の責任になるのかを商品の価格交渉を行う際に取り決める必要があります。

上の図では、代表的なインコタームズを示しています。以下その中でよく使われる4つのもインコタームズを説明します。
EXW
:全ての輸送は買い手が手配します。売り手の仕事は文字通り、製品の製造が完了し、売り手倉庫で買い手の手配したトラックに載せる準備をした時点で終了します。完全なコントロールを維持するためにEXWを利用するバイヤーもいますが、輸出国側の輸送手配に慣れていないとできません。
DAP
:一方、DAPは売り手が全ての輸送を手配します。買い手にとっては負担の少ない取り決めの一つです。DAPインコタームでは、輸入通関と輸入税以外はすべて売り手に責任があります。
FOB
:これは最もよく出てくるインコタームです。売り手は、貨物船(船であれ飛行機であれ)に積まれるまで負担し、この時点で責任は買い手に移ります。買い手は、輸入港まで貨物を運び、荷を下ろして最終目的地まで製品を輸送する責任を負います。また、輸入税を支払い、通関手続きは買い手が行います。
CIF
:これは売り手が買い手国の港までの輸送費用及び保険を手配するインコタームです。つまり、FOBに海上輸送、保険を追加で売り手が負担するものです。
配送方法の選択
米国の拠点に製品を発送する方法には、主に4つの方法があります。量、スピード、価格等に応じて製品にあったものを選択します。
郵便
:小口発送に最適で、海上輸送、航空輸送が選べます。経済的な反面、場合により輸送日数が多くかかる場合があり、トラッキングや、紛失時の問い合わせが難しい場合があります。
グローバル・クーリエ
:民間のクーリエ会社を利用することもできますし、DHL、UPS、FedExが提供するエクスプレスサービスが有名です。これらのパッケージは、世界中のどこにでもわずか2~5日で到着します。また、非常に強固な追跡ネットワークがあるため、製品がどこにあるのかを常に確認することができます。また、通関手続きもクーリエ会社が行うため、手軽に輸送できます。ただし、輸送費用が比較的高く、パレットに相当する商品を発送するのであれば、航空貨物、海上貨物を選択するケースが多くなります。
航空貨物
:輸送量が多い場合は、航空貨物の方がお得です。一般的には、45㎏前後が転換点となります。この時点で、航空貨物は宅配便よりも実用的になります。クーリエサービスに匹敵するスピードで輸送できます。
海上貨物
: 輸送時間はかかりますが、安価に輸送できます。商業輸送では最も一般的で、コンテナと呼ばれる箱を貸切るFCL輸送、コンテナ輸送未満の物量のLCL輸送があります。一部の高額品以外の製品は、海上輸送で輸送されるケースがほとんどです。
通関
日本の輸出通関、アメリカ側の輸入通関を行う必要があります。通関には、そういった事務手続きを行う通関業者に業務を委託することができます。その際、下記の書類を輸入者又は輸出者は用意する必要があります。
1. インボイス(仕入書)
何をいくらで取引したかが分かる書類。
貨物種類(概要)、数量、価格、代金支払い方法、荷送人および荷受人の住所、居所、氏名、名称等が記載されます。
2. パッキングリスト(包装明細書)
インボイスを補完するもので、貨物の詳細、(詳細な品名、数量、重量、容積)が記載されます。
3. シッピングインストラクション(船積み依頼書)
輸出する際に、輸出者がフォワーダー(Forwarder)に対して発行する「船積や通関手続きを指示するための書類」。荷送人、荷受人、船名、船積港、荷揚港、荷渡地、出航予定日等が記載されます。
Eコマース・ビジネスの準備はできていますか?
初めての方々にとって輸出業務は複雑で難しそうに見えるかもしれません。どうすれば効率的に、且つトラブルなく輸送できるかはある程度の経験が必要です。
なお、当社トレードポータルでは、アメリカ向け越境ECに必要な、物流、EC立上げ、現地法人設立、のサポートをしております。
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