
アメリカに輸出をしたいのだけれど、何か規制があるのではないか?
食品を輸出する前に準備しておくことは?
を知らないで輸出するとどういう事になってしまうの?
今回はそんな疑問にお答えします。
記事のテーマ
アメリカ向けに輸出する場合の規制まとめ
FDA・食品・衣料品・子供向商品・自動車部品など
目次
1.輸出規制は知らないと危険
2.輸出規制の概要
1)食品(肉以外)/FDA規制
2)肉類
3)子供向け商品
4)食器
5)無線機器(携帯電話/WIFI等)
6)衣料品
7)自動車(中古車)
8)木材製品、家具
9)ブランド品
3.全ての輸入品は規制をクリアしているの?
4.正しく規制を理解し輸出を
私たちは、現在約7年間にわたり、お客様の貿易、物流、ECでの販売をサポートして参りました。また、アメリカの食品輸入に必要なFSVP(外国供給業者検証プログラム)のQI(適格者)の要件も満たしています。
今回は、お客様の成功事例、失敗事例、日々の運用での経験を交え解説します。無料のご相談はこちらまで。
1.越境ECを始める前に輸出規制は知らないと危険
アメリカ向けに輸出をする際、輸出規制を守る事は無駄なコスト、日数、訴訟リスク等を避けるためにも大切です。
仮に輸出規制を遵守しなかった場合、以下のトラブルが発生する可能性があるので注意が必要です。
1)商品がアメリカに入国できない。
アメリカ国内に入れる事が出来ず、日本へ送り返さざるを得なくなる。
2)検査に費用とコストがかかる。
検査が必要となり、検査費用、輸送費用、保管費用等追加費用が発生。
しかも場合によっては長期間留め置きされるためかなりのコストとなる。
3)仮に輸入できたとしても、問題発生時に訴訟リスクがある。
輸出規制を守らずにアメリカに入れた商品を、アメリカ国内で販売し、仮に事故、トラブルが発生した場合、顧客等から訴訟を起こされ多額の賠償金を支払わざるを得ない可能性がある。
4)刑事責任を負う場合もある。
罰金、懲役刑を伴う刑事的な責任を負う可能性があるばかりか、企業イメージ、株価下落につながります。
2.アメリカ向け輸出規制の概要
貿易管理上アメリカに入国できないもの、一定の環境、安全基準等をクリアしなければ販売できないもの等、多種多様存な規制が存在します。また、米国当局に事前通知、検査、認証を得ないと輸入できないものもあります。
ただし、輸入できてしまっても全て販売できるというわけではありません。
万が一販売した場合、その責任は、製造業者、卸、小売り、輸入業者が責任を負うことになりますので要注意です。
以下、アメリカ向けに輸出される事の多い商品についての規制の概要になります。
1)食品(肉以外)/FDA規制
FDA(Food and Drug Administration)、日本でいう厚生労働省に似た組織による規制があります。食品(肉類は別の規制)、化粧品、医薬品、医療機器などが対象となり、それぞれ安全基準があります。
A.FDAへ製造所登録、事前通知
アメリカへ食品を輸入するには、事前にFDAに製造工場の登録が必要です。輸出時にその登録番号を用い、FDAへの事前通知もしなければいけません。従い、食品を輸出する場合、製造者に工場の登録番号を確認しましょう。
なお、以下登録の注意点です。
工場が行うことが原則なので、輸出業者が勝手に登録する事はできません。
工場から依頼を受けた場合、代理人がが登録を行う事は可能。
1施設で複数の登録は認められていません。
B.原材料の確認
アメリカにおいて規制の対象となっている成分・添加物・着色料などが含まれていないか確認する必要があります。
C.ラベル表示
FDAの定める表示方法で以下の内容を明記する必要があります。
食品名
食品表示必要条件
正味内容量表記
成分リスト
強調表記
アレルゲン
2)肉類
米国農務省(USDA)による規制があり、牛肉のみ、厳格なルールに基づいてのみ輸出が認められております(豚肉/鶏肉は認められていません)。
A.日本側の加工施設
厚生労働省が認定した施設で処理を行い、かつ、厚生労働省から食肉衛生証明書の発行を受ける必要があります。
B.輸入通関
米国農務省(USDA)の食品安全検査局(FSIS)に輸入検査申請を提出する必要があります。輸入検査申請は、製品が再検査される輸入検査施設に貨物が到着する前、かつ、米国税関・国境取締局(CBP)に輸入申告が申請される前に、FSISに提出されなければなりません。
C.有毒物質に対する規制
重金属、ヒ素、残留動物用医薬品等の汚染物質に関する規制があります。
3)子供向け商品
12歳以下向けの商品には、大人向け以上の規制があります。玩具だけでなく、ぬいぐるみ、子供用アクセサリー、乳児用品、運動具、ゲーム、幼児教材、子供用別途など多岐が対象となります。
A.成分による規制
口に入れても安産なよう、鉛含有量や特定の化学品、磁石、表示などの規制があり、第3者機関による検査の必要があります。
B.磁石を用いた玩具の規制
強力な磁石を複数口に入れた場合、消化組織を挟み込む重大な健康被害が発生する可能性があるため、磁石の強度に関する規制があります。
C.表示規定
商品のトレーサビリティを確保するため、ロット番号等以下の表示が必要です。
‐メーカーまたはプライベートブランド名称
‐生産地
‐製造日
‐製造プロセス管理情報(ロット番号、バッチ製造番号等)
D.第三者機関による製品検査
使用禁止物質や規制対象について第三者検査機関による検査と認定が義務付けられています。ただし、小規模生産者の製品は対象外になります。
4)食器
鉛やカドミウム等に関する安全基準があります。
5)無線機器(携帯電話/Bluetooth/WIFI機器等)
通信や電波の利用に関する規制、認証を取得する必要があります。
6)衣料品
A.表示ラベル
原産国、一般名称、構成物、ケアラベル(洗濯方法)等の表示ラベルに関する規制があります。
B.防炎に関する規制(特に子供用寝間着)
適合する難燃処理がされているかの規制があります。アメリカ輸入時に、安全基準を満たしていない可能性がある商品は、検査を受ける可能性があります。
C.中古衣料品
中古衣料品に関しても、原則新品製品と同様の規制を受けます。フレコンバックに入れられた再生用のもの等は対象外です。
D.MID
輸入申告時にMID(Manufacture Identification Code)を記載する必要があります。
E.新疆ウイグル自治区産品
綿製品等多く生産されている新疆ウいグル自治区からの輸入品は、強制労働で生産されたものではないと明白に証拠を示さない限り、輸入が禁止されています。
7)自動車(中古車)
A. 右ハンドル規制
右ハンドル車の輸入は実質的に困難です。(右ハンドルで安全機銃に準拠している事を証明する必要があるため。)
ただし、25年以上古い車はクラシックカーの扱いになり規制の対象外になります。
B.排ガス規制
安全基準、排ガス基準等に関する規制があります。こちらも25年以上古い車は規制の対象外となります。
8)木材製品、家具
木材-木材製品をアメリカに輸入するには、伐採された国と樹種の申告が必要です。
また、ホルムアルデヒドに関する規制があります。
9)ブランド品
米国では模倣品が社会問題となっており、ブランド品の輸入は模倣品が疑われる場合があり、正規品であることを証明するものを添付する事が望ましいです。(模倣品の輸入は禁止されています。)
3.全ての輸入品は規制をクリアしているの?
1)個人貨物として宅配便で送った場合輸入できてしまう事も。
個人貨物として宅配便で送る場合は簡易的な通関となるため、多くの場合規制をクリアせずとも輸入できてしまいます。実際、この方法を用いてアメリカで販売しているケースもありますが、大きなリスクを負っていることになります。
2)その場合のリスク
それを個人で使う分にはいいですが、販売した場合、事故やクレーム等で問題が発覚する事があります。その場合は、訴訟リスクや場合によっては刑事責任を負わなければならない事もあります。万が一、販売した商品によって食中毒、健康被害、ケガ等が発生した場合は、訴訟を起こされる可能性もあり、多額の賠償金を支払う必要があります。従い、他社がやっているからという理由で始める事はリスクを伴います。
4.正しく規制を理解し輸出を
このように規制を正しく遵守することなく、アメリカで販売すると、思わぬリスクを負うことになります。日本では問題なく販売できるものでも、アメリカでは販売できない例等は多数あるので、注意が必要です。従い、専門家に相談する、文献をよく確認するなどの必要があります。
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